コロナ危機で主要アパレルの在庫月数が最大2.5倍に増加

フルカイテンが調査結果を公表
コロナ危機で主要アパレルの在庫月数が最大2.5倍に増加

コロナ禍において多くの産業がダメージを受けていますが、いわゆる生活に直結していない衣料品業界も苦境に立たされています。以下は既に公表されている大手アパレル企業の決算資料をもとに在庫月数(今ある在庫が何ヶ月かけて売り切れる量か)を算出してその状況を調査したものです。レポート内にもありますが、実店舗販売が減ったぶん通販が増えた一面もあるとはいえ、総合的にはやはり苦戦が目につきます。いわゆるアンケート調査とは異なりますが、コロナの影響の一つの指標としてご覧ください。

(※本調査は、対象となった12社の経営成績や財政状態の優劣を評価するものではありません。)

調査概要

(以下、フルカイテン株式会社による調査レポートより抜粋。中略あり。)

小売企業向けに在庫問題を解決するクラウドサービス(SaaS)を開発・提供するフルカイテン株式会社(本社・大阪市福島区、代表取締役・瀬川直寛)は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売上が大きく落ち込んだアパレル企業について、需要の消失が経営に与えたインパクトを在庫(棚卸資産)量の視点から定量的かつ客観的に計測するため、2020年3~5月期を対象に在庫月数(※)と在庫回転率を分析しました。
※在庫月数:売上と比較して何か月分の在庫を持っているかを示す指標。在庫回転期間ともいう。在庫を全て売り切るまでに必要な月数を指す

調査レポート目次

調査レポートまとめ

アパレル大手12社の在庫指標[2020年3〜5月期]

概要
 ・大手12社のうち11社で在庫月数が前年同期と比べ増加しており、最大で前年の2.5倍に。増加率は23%~150%
 ・これに伴い、11社の在庫回転率が悪化
 ・12社のうち10社で5月末の在庫が前年同期よりも増加。最大で1.3倍に
以上に加え、コロナの影響は依然として収束が見通せないことから、想定される売上に対して在庫が過大な状態であるといえます。
詳しい調査結果は別途、レポートとしてまとめており、https://full-kaiten.com/news/report/1740 からダウンロード可能です。

調査は2月期または8月期決算で株式を上場しているアパレル企業のうち売上高が上位の12社を対象に、新型コロナウイルスの影響で非常事態宣言が出ていた時期と重なる2020年3~5月期連結決算を基に行いました。

店舗の休業や営業時間の短縮、外出の自粛などにより、12社のうち11社が当期純損益で赤字となりました。売上高が落ち込む中で固定費を賄えず、EC(ネット通販)での販売を伸ばした企業は多かったものの、実店舗分をカバーするには至りませんでした。

ただ、弊社はコロナ危機のような特殊要因によって市場が混乱する環境においては、四半期PL(損益計算書)上の黒字・赤字よりも、在庫(棚卸資産)と売上規模との関係に着目する方が実態を正確に把握できると考えています。

上図にある通り、2020年3~5月の売上規模を基準に、5月末時点で「何カ月かけて売り切れる量の在庫を持っているか」を示す在庫月数は、12社中11社が前年同期と比べて増加しました。増加率は23%~150%となり、最大で2.5倍となったケースもありました。

在庫月数が唯一減少した西松屋チェーンは、生活必需品も扱っているため緊急事態宣言下も大半の店舗が営業を継続していたことが要因です。

(詳細はURL参照)

調査方法

調査の前提
 ・公表資料(四半期報告書または決算短信)を基に計算
 ・在庫月数は(期中平均在庫金額) ÷ (売上原価 ÷ 3)で算出
 ・在庫回転率は12 ÷ (在庫月数)で算出
 なお、在庫月数や在庫回転率は売上原価ではなく売上高を用いて計算する方法もありますが、弊社は売上原価で計算しています。下記のようなアパレル産業の特性を考慮すると、売上原価を用いた方が在庫リスクを正確に表すことができると判断したためです。
 ①原価率が低い
 ②売価が大きく変動する
 ➂廃棄率が低くない
 ※本調査は、対象となった12社の経営成績や財政状態の優劣を評価するものではありません。

調査元

URL: https://full-kaiten.com
本社: 大阪市福島区福島1-4-4 セントラル70 2階B
東京: 東京都港区虎ノ門3丁目3-3 虎ノ門南ビル2階
設立: 2012年5月7日
代表者: 代表取締役 瀬川直寛
従業員数: 22名

【本件の問い合わせ先】
フルカイテン株式会社
広報チーム 南
電話: 06-6131-9388
Eメール: info@full-kaiten.com

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