アンケートの項目作成で知っておくべきコツやノウハウを解説

アンケートの項目作成で知っておくべきコツやノウハウを解説

アンケート作成では各項目をどのように設定するのかよく考える必要があります。いくつかのコツを押さえることで回答率を上げることも、リサーチの精度を上げることもできるようになります。

そこで、ここではアンケートの項目を作成する際、知っておくべきコツを紹介していきます。

アンケートを始める時に大事なこと

まず重要となるのは、「アンケートの目的」を明確にし、誰をターゲットにするのかを決めるということです。

目的が不明瞭だと調査後に別の質問も入れておくべきだった、などと気が付くことがあります。当然、アンケートの効果も十分には得られません。そこで例えば「商品Aに関して、顧客満足度の男女差を把握したい」といった形で目的設定を明確にしましょう。その上で必要な設問を考えていきます。

ターゲットも事前に明確な設定をすべきです。既存客を対象とするのか、自社の商品等を認知している潜在的な顧客も対象とするのか、他にも性別や年齢層などターゲットの具体的設定をしておきましょう。

次に「収集期間や収集方法」を決めます。回答期限を具体的に載せておかなければアンケート回収率が悪化する可能性があります。目的に合った最適な期間を設けるようにしましょう。

そして「質問数とその形式」を決めていきます。回答を多く集めるには適切な質問数と質問形式を見極めなければなりません。例えばラジオボタンやマトリックスなど、形式にも様々な種類があります。

またアンケートをどのように実施するのか、その方法も重要です。主な実施方法としてはインターネットを利用する方法と、従来通りアンケート用紙を用意する方法とがあります。ネットリサーチだと低コストかつデータ集計も簡単になるため容易に開始することができます。一方でPCやスマホを利用しない層には向いていません。

その場合はアンケート用紙を用いた調査をすることになりますが、印刷代や配布・回収に費用がかかってしまいます。使いどころを分けて実施方法を選択すると良いですが、スマホ等の普及率も高まる現代においてはネットリサーチのほうが主流であると言えるでしょう。

回答形式の種類を知る

アンケート項目を作る際、前述の通り回答形式の選択も重要になってきます。そのため、回答形式の種類とその特徴を簡単にでも理解しておくことが大切です。

ラジオボタン

ラジオボタンは回答欄の選択肢を1つだけ選択してほしいときに利用する回答形式です。他の回答と両立しないようなケースでよく利用されます。

チェックボックス

チェックボックスは、ラジオボタンとは違って複数の選択肢を選ぶことができる回答形式です。そのため各選択肢は両立し得ます。

テキストボックス

テキストボックスとは、上2つの形式のように選択式ではなく、自由記述をして欲しいときに選ぶ回答形式です。例えば「当社への質問がありましたら、ご自由にお書きください。」といったように質問や意見、感想を求める場面で使います。

スケール

スケールも選択式ですが、こちらは段階別・程度別に選択肢が分かれたものになっています。例えば「当社の商品はいかがでしたか」という質問に対し「○非常に良い、○良い、○普通、○悪い、○非常に悪い」から選んで欲しい場面などで使用されます。

マトリックス

マトリックスは、同じ選択肢を複数の項目に対し利用し、回答してもらう形式のことです。

スケールと組み合わせて使うことが多く、例えば上の「○非常に良い、○良い、○普通、○悪い、○非常に悪い」の回答を、「当社の商品はいかがでしたか」だけではなく「当社の接客はいかがでしたか」「当社までのアクセスはいかがでしたか」などと複数の質問を組み合わせて流用する形になります。表にして表されることも多いです。

アンケート項目を作るコツ

次にアンケート項目を作るコツを見ていきましょう。

設問一つ一つの目的を明確に

アンケートそのものの目的を明確化させることも重要ですが、各設問にも目的意識を持つようにしましょう。そうすることで無駄な設問を作ってしまうことも防ぎやすくなりますし、設問形式も適切に設定しやすくなります。

挨拶文を入れて印象を良くする

アンケートでは、すぐに質問に入るのではなく最初に挨拶文を入れ、なぜアンケートをしているのかその目的なども記載しておくと良いでしょう。挨拶文がない場合に比べて印象を良くすることができますし、一緒に「アンケートの回答にお進みください」などと行動を促すメッセージを入れるだけで回答率を上げることもできます。

挨拶文を入れるといっても長々しく入れる必要はありません。例えば「この度は、当社のアンケートにご協力いただきありがとうございます。」などと簡単なものでも構いません。

質問数を明記しておく

アンケートの冒頭では、これから質問をする数を明らかにしておき、回答者側のモチベーションが下がらないようにする配慮が大切です。回答にどれだけの時間がかかるのか記載しておくのもいいでしょう。そうすることで、空き時間を使って回答をしてくれる人も取り組みやすくなります。

設問数は最低限にする

アンケート項目を作っていくうちに、ボリュームが思ったより増えてしまったということも珍しくありません。しかしできるだけ回答者に負担をかけないことが回答率を上げるためには大切ですし、集計側の負担を減らして効率的にリサーチをするためにも重要となります。

そこで、考えた質問を一度全て通してチェックするようにしましょう。不要なものがないか確認し、質問文を選定します。回答に時間がかかってしまうと回答者がアンケートから離脱する可能性が高くなってしまいます。類似する質問は見出しを付けてまとめるなど、構成上の工夫をするのも良いでしょう。

答えやすい質問文にする

回答率および精度を上げるために、答えやすい内容にしてあげることも重要です。そのためにはターゲットに合わせた口調で文章を作る必要があり、専門用語の使用や回答形式の選択についても考慮していくことになります。

答えやすい質問文にするには文章を理解しやすくすることが必要です。一文の長さを短めに設計するのもいいでしょう。端的で分かりやすくできます。

回答の流れを意識する

答えやすい質問文にすることなどは、設問一つ一つに対する措置ですが、全体の流れを意識した設計も重要になります。そこで、回答者になりきって思考の流れを意識するようにしましょう。

例えば商品やサービスを知ったきっかけから質問し、その後購入に関すること、購入後のこと、今後の継続意向などを聞いていくという流れにすると、スムーズに思い出しやすくなります。このように時系列に沿った設問設計をするといいでしょう。

また徐々に深い質問をしていくというケースでは、最初に総合的な意見を聞き、その後詳細に聞いていくという流れがセオリーとされています。

その他構成のコツとしては、アンケートの冒頭に答えやすい単純な質問を配置することも有用です。性別や年齢に関する質問であれば即座に答えることができ、一つ答えたことによって続く質問にも行ってみようという気が起こりやすくなるのです。

個人情報を記載させないこと

名前や住所など、個人情報は本当に必要な時以外求めないほうがいいです。特に近年では情報漏洩などの問題がよく取り上げられるなどして情報セキュリティへの関心も高まっています。個人情報を記載することに抵抗を感じる人も多いです。

そこで特に必要がなければ、無記名もしくは任意記名にしましょう。

インセンティブを付ける

よりアンケートの回答率を上げたければ、インセンティブを付けるようにしましょう。つまり回答意欲を高めるような「おまけ」「見返り」を設けるということです。

例えばアンケート回答者には謝礼やプレゼントを渡すこと、クーポンやギフトカードの配布など、やり方は自由です。ターゲットがより食いつきやすいものを付けるといいでしょう。

特に個人情報の記載が必要なときには回答率が落ちてしまう確率が高くなってしまいますが、住所の記載によりプレゼントも届くようになるというのであれば回答率を維持することもできるでしょう。

ただ、アンケートにかかるコストとの兼ね合いもありますし、やり方によっては回答にバイアスがかかってしまう可能性があるため慎重になるべきです。

アンケート作成ツールを利用

アンケートは、多くの職場で導入されているWordやExcelなどのソフトで作成することも可能ですが、操作に慣れていなければ時間がかかってしまいます。完全に自作することで高い自由度を保つことはできますが労力もかかってしまいます。

そこでアンケート作成ツールの利用も検討してみましょう。機能は制限されてしまうものの無料で利用できるツールも多くあります。

有名なツールの例としては「Google フォーム」が挙げられます。Googleが提供するサービスは多くの企業、一般消費者も利用しているため、このフォームを使った回答にも抵抗を感じにくいです。なにより設問作成が高効率で実現され、ネットリサーチとの相性も良いです。

アンケートの設問内容自体は考えたものの、どのようにフォームを作ればいいのか分からないという方はツールを探してみましょう。

リサーチ会社への依頼も検討する

Googleフォームのような無料ツールを使うことでもアンケートを作成することはできますが、集計やその後の分析などは自社で行わなければなりません。アンケート実施の実績がありノウハウがあれば問題ありませんが、初めて行う場合などにはどのように分析し、その結果を今後に活かせばいいのか分からないということもあるでしょう。

そこで全面的にサポートをして欲しいという場合にはリサーチ会社への依頼を検討しましょう。サービスにもよりますが、部分的なサポートを受けることも、企画から結果のレポート作成まで全過程を依頼することもできます。コストはかかりますが、最もアンケートの効果を得やすい方法と言えます。