webシステムの特性を活かした制御機能
ネットリサーチの品質のところでも触れましたが、ネットリサーチ(インターネット調査)では
アンケート画面(web画面)をシステムで制御することができます。
[参考:web画面のシステム制御]
適切な表示制御をかけることにより、
- 矛盾のある回答を防止する
- アンケートがわかりやすくなる/答えやすくなる
といったメリットが生まれ、結果としてアンケートの品質向上にも役立ちます。
このシステム機能もネットリサーチ会社毎にできること・できないこと及び有料・無料かの違いがありますので、
ネットリサーチ会社を比較・選定するときの重要なポイントのひとつになるでしょう。
なおアンケート回答者の抽出やサンプル回収などweb画面以外のシステム機能もありますが、
ネットリサーチ会社を比較・選定するときの決め手になるようなものとしては
web画面の制御に関わるところが多いと思います。
したがってここでは、web画面の表示制御に絞ってどのようなシステム機能があるのかをご紹介します。
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必須回答制御
必ず回答しなければいけないのか、任意回答なのかを制御します。
回答せずにアンケートを完了しようとすると、エラーを表示して必ず回答するよう促します。
表示/非表示制御
アンケートにどう回答していくかによって、設問や選択肢の表示/非表示を切り替えたいケースもあるかと思います。
そのようなときはこの設問・選択肢の表示/非表示制御が有効です。
設問の表示/非表示
例えば以下の例で、Q1で「飲む」と答えた人だけにQ2を表示します。
【例】Q1で普段コーヒーを飲むかを尋ねて、Q2で頻度を聞く場合
Q1. あなたは普段コーヒーを飲みますか?
飲む
飲まない
Q2. あなたは普段、どの程度コーヒーを飲んでいますか?
毎日
週3-4日程度
週1日程度
それ以下
→ Q1で「飲まない」と答えた人にはQ2を表示しない
選択肢の表示/非表示(絞り込み制御)
こちらは「選択肢」単位で表示/非表示を切り替えるものです。
この例ではQ1で選んだ商品のみQ2の選択肢として表示します。
【例】Q1で知っているものを尋ねて、Q2で買ったことがあるかを聞く場合
商品A
商品B
商品C
知っている商品はないQ2. あなたが買ったことがあるものをすべてお選びください。
商品A
商品B
商品C
買ったことがある商品はない
→ Q1で選んでいない商品はQ2の選択肢として表示しない
同時選択不可(排他選択肢制御)
あてはまるものをすべて選ぶような場合、同時に選択するのはおかしいことがあります。
矛盾した回答を防ぐためには同時選択不可(排他選択肢制御)が使えます。
例えば以下の例では、選択肢4(排他選択肢)とそれ以外を同時に選ぶとエラーを表示して再回答を促します。
【例】他の選択肢と同時に選ぶと矛盾した回答になる場合
1.赤
2.青
3.黄色
4.この中に好きな色はない
→ 選択肢1-3と選択肢4を同時に選んで回答を進めようとするとエラーを表示
選択数制限
あてはまるものを複数選ぶ設問で、選択できる数に上限を設けます。
【例】最大3つまで選択してもらう場合
価格
デザイン
色
機能の多さ
サイズ
重量
その他
→ 4つ以上選んで回答を進めようとすると、選ぶ数を3つ以下にするようエラー表示
ランダム表示(ランダマイズ)
アンケートの設問や選択肢の並び順が回答傾向に影響を与える(バイアスがかかる)ことがあります。
このような場合、アンケート回答者毎に並び順をランダムに変える”ランダム表示制御”という機能が有効です。
【例】2つのキャッチコピーを並べて質問する場合
Q1. 以下2つのキャッチコピーを見て、より【安心感があるもの】をお選びください。
回答者Aさんには以下の選択肢を表示
[コピー1]『【業界実績No.1】セキュリティーソフトなら○○にお任せください。』
[コピー2]『○○は「92%の方が使い続けたい」と答えたセキュリティソフトです。』
回答者Bさんには以下の選択肢を表示
[コピー1]『○○は「92%の方が使い続けたい」と答えたセキュリティソフトです。』
[コピー2]『【業界実績No.1】セキュリティーソフトなら○○にお任せください。』
→ コピー1,2の順番を回答者毎にランダムに入れ替えることで偏りを無くす
その他にも制御機能はありますが、おおよそ上記が代表的なところかと思います。
実施予定のアンケート調査にどのような制御をかけるのか、
またネットリサーチ会社にどのようなシステム機能を求めるのか検討する際の参考になれば幸いです。
以上です。
ネットリサーチ会社の比較ポイントとして品質からシステム面まで何回かに分けてご説明してきました。
ネットリサーチの基礎を押さえ、ここまでご紹介した比較ポイントを踏まえておけば
何も準備せずにネットリサーチ会社を選ぶよりははるかに失敗するリスクが減るでしょう。