テレワークに関する調査まとめ!現状の課題や悩みを比較

テレワークに関する調査まとめ!現状の課題や悩みを比較

テレワークをしている人の主な不調

オムロン ヘルスケア株式会社が、20~50代のテレワークをしている男女1,000人を対象に調査を行い、どのような不調を抱えているのか、その不調の種類や対策方法について結果を明らかにしています。

テレワークを始めてから身体に不調を感じると答えた者は全体の31%、そして不調を感じると答えた者の中で最も多い不調の内容が「肩こり」で68.1%、次が「精神的なストレス」で61.3%でした。他にも「腰痛」や「姿勢が悪くなる」「目の疲れ」は50%を超えています。

さらに突き進め、男女別で不調の内容を分けると「肩こり」は女性では75.0%なのに対し男性は58.1%と比較的少ないことが分かっています。逆に男性では「精神的なストレス」が60.5%と一番多く感じていることが分かっています。他に男女別で大きく違う点は、女性は「むくみ・冷え」や「肌荒れ」の不調を多く感じているということでしょう。

次に「自宅で仕事をしている際の主な姿勢」を全体に質問したところ、机と椅子を使用しているのが最も多く67.6%、次いで床に座って机を使用しているのが23.5%でした。多くの人が感じている「肩こり」や「腰痛」は姿勢の悪化からくるとも言われていますので、仕事をする際の机や椅子が合っていないなどの理由により身体に負担がかかりやすい状態になっているのではないかと考えられます。

新型コロナウイルスによって急速にテレワークが進んでいますが、不調を感じている人の実感として多いのはテレワークを始めてから2週目だそうです。そして3週目がピークと感じているようで、程度としては「軽度で耐えられる」が64.3%、「重度だが耐えられる」と答えた人が25.0%となっています。多くの人が軽度とは感じていますが「ほぼ気にならない」と答えたのはわずか6.0%であり、この状況が中長期化すればより身体への不調を感じる人が増えると予想されています。

参照:テレワークとなった働き世代への緊急アンケート

サポート業務のリモート対応実態調査

株式会社オウケイウェイヴが、サポート業務担当者を対象に実態調査を実施しました。業種は金融業から製造業、コンサルティング業、IT・情報通信業、サービス業など幅広く調査対象とし、会社の従業員規模も3,000人以上の大企業から100人未満の中小企業までを含んでいます。

まず、サポート業務でリモートワークを実施しているかという質問により85%の企業は全部または一部でリモートワークを実施しているということが分かっています。逆に実施していない企業の理由としては「個人情報を扱っているため」「コールセンターが外部対応していない」などが挙げられています。

リモートワークに対する期待値を調査した質問では、回答者の約50%が「全業務でリモートワークを可能にして欲しい」と答えていることが分かっています。逆にリモートワークをしたくないと答えた人の自由回答では、個人情報を扱う業務はリスクがあること、紙での作業があり難しいということを理由として挙げています。

参照:サポート業務のリモート対応実態調査

緊急事態宣言後の就職活動意識調査

株式会社学情が、緊急事態宣言の発令を受けて、あさがくナビ2021・Re就活登録会員を対象に「緊急事態宣言後の就職活動意識調査」を実施しています。

この調査では新卒の人と中途の人で分けて結果を出しており、テレワークに関しては特に中途の人の関心が強いということが分かっています。具体的には「緊急事態宣言を受けて変わった転職における意識」の中で最も高い割合を占めたものが「テレワーク等の環境の有無も確認するようになった」であったということです。

参照:緊急事態宣言後の就職活動意識調査

日米におけるWEB会議システムに関する消費者調査

株式会社J.D.パワージャパンが、日米におけるWeb会議システムに関する消費者調査を実施しました。

まず、仕事で導入されているWeb会議システムの利用割合ですが、アメリカではZoomが48%と一強の状態、他のシステムは10%前後です。一方日本ではZoomが30%で一番多く使われていることに違いはありませんが、一強とまではいかずSkypeも25%と多く使われていることが分かっています。

またWeb会議への接続でパソコンが最も多く使われていることに日米とも違いはなく、どちらも70%前後です。スマートフォンによる接続も約15%と似ていますが、タブレットに関してはアメリカが6%、日本では12%と若干の違いは出ています。

次に会議接続への難しさに関しては、アメリカでは半数以上が「とても簡単だった」と感じているのに対し日本で「とても簡単だった」と感じたのは23%と大きな違いがあることが分かっています。「とても難しかった」「やや難しかった」と答えた人の割合も日本だと合わせて23%、アメリカでは9%という違いがあります。日本では未だWeb会議システムへの慣れが不十分だということが分かっています。

参照:テレワーク下におけるWEB会議利用に関する日米調査

緊急事態宣言の発令で変わった活動内容・勤務体制

エンワールド・ジャパン株式会社が、緊急事態宣言発令に伴い、企業の採用活動および事業活動に関するアンケートを実施しています。

この調査によると約9割の企業で、緊急事態宣言の発令を受けて事業の活動内容や社員の勤務体制が変わったと回答しています。そして変化したことの中で最も多かったのは「全従業員のテレワーク推奨・許可」でした。

変化したと回答した9割のうち、多くは「大きく変更した」と答えており、3割強の企業が「少し変更した」と答えています。逆に全体の1割弱しか何ら変更をしていないということもこの調査から分かっており、緊急事態宣言がいかに多くの企業に影響を与えたかが分かるかと思います。

この調査では外資系企業と日系企業を分けた結果も出しており、日系企業のほうが、少しだけ変化が大きかったことが分かっていますが大きな違いは確認されていません。

新型コロナ禍における中途採用実態調査

テレワークの満足度と生産性の関係

三谷産業株式会社が、恒常的なテレワーク状況に関するアンケートを実施しています。

まず、テレワークにおける総合的な満足度に関しては「非常に満足」と答えたのが28%、「やや不満」「非常に不満」を合わせた割合が24%と、不満を感じた人より満足をしている人のほうが多いことが分かっています。

次にテレワークが続くことによって「生産性は変わりましたか」という質問に対しては、あまり変わらないと答えた人が41%と最も多いですが、やや下がったと感じている人も38%と次いで高い割合を占めています。

上の満足度と生産性に関する関係を深く見てみると、それぞれ正の相関関係にあることが分かっています。つまり、生産性が高まったと感じている人ほどテレワークに満足しており、生産性が落ちたと感じる人ほど不満を感じているということです。当たり前のように思えることですが、アンケートを行うことでこうした傾向が数値として明確に把握することができています。具体的には、生産性が「非常に高まっている」と答えた人の67%は「非常に満足している」、生産性が「非常に下がっている」と答えた人の48%は「非常に不満」と感じていることが結果から見て分かります。

また、テレワークに対する不満としては「チーム内で作業負担にばらつき」、「他部署の人との接点が無くなった」ということ、さらに通信環境の問題も挙げられています。

参照:恒常的なテレワークに関するアンケート

テレワーク導入の進捗

株式会社ヌーラボが、プロジェクト管理ツール「Backlog」のユーザーを中心に「新型コロナウイルス感染症に伴ったテレワークの導入に関する調査」を実施しています。

この調査では、IT・インターネット業界の85%がテレワークを導入したこと、緊急事態宣言発令後は他の業界でもテレワーク導入が増えたこと、新型コロナウイルスの流行時期とテレワーク導入時期に相関関係があることなどが分かっています。

特に緊急事態宣言の発令前後では状況が大きく変わっています。IT・インターネット業界では、2020年2月時点では会社の許可があっても6割ほどの人しか活用していなかったものの、緊急事態宣言を受けてからは9割以上の人が活用するようになっています。さらにIT・インターネット業界以外でもテレワーク導入率が76.3%と増加しています。

なおエリア別の導入率では、2020年2月時点ではコロナの流行が比較的早かった北海道で高く、次いで関東地方、九州地方となっています。これに対し2020年4月時点では関東地方での導入率が最も高く、次いで九州地方、近畿地方となっています。

参照:Backlog総研/調査リリース

女性社員のテレワーク実態

ペーパーロジック株式会社が「女性社員の職場環境に関する意識調査」を実施しており、テレワーク実態を公表しています。

テレワークの導入状況に関し女性社員に限定して調査をしたところ、過半数で導入されていないという結果が出ています。さらに紙の提出のために出社したり、立ち寄ったりした経験のある社員が61.4%、そして45.5%の社員が会議資料等のペーパーレス化・電子化を望んでいるということが分かっています。

ペーパーレス化に関しては資源の無駄がなくなることや、どこでも閲覧できるようになるというポジティブな声が多かったようです。

参照:女性社員の職場環境に関する意識調査

営業の現場の声

一般社団法人営業部女子課の会が、「コロナ時代のモノの売り方」に関する現場の声を調査しています。

調査結果をまとめると、リモート営業に関して6割が悩みを抱えているということ、そして困っていることの内容としては「顧客との信頼関係」「顧客側の環境が進んでいない」「顧客とのアポイントが取りにくい」ということが分かっています。

また、リモート営業で実践している売り方の工夫に関する調べでは「顧客とのコミュニケーションの数を多くする」「顧客の状況をヒアリングする機会を多く設ける」、「顧客にオンライン商談を積極的に進める」といったことを多く実践していることが分かっています。

さらに、実際にリモート営業をすることで移動時間の削減や商談時間の短縮をメリットと感じる一方、顧客との関係構築についてはデメリットと感じている人が多くいることも分かっています。

参照:コロナ時代のモノの売り方調査結果

まとめ

各調査を見ていくと、新型コロナウイルスの流行によって急速にテレワークの導入が進んでいることが分かります。それと同時に満足度や生産性が上がったという声や、逆に不満の声も出ています。ただ、現状は導入され始めた段階であるためシステムや環境に慣れていないということも関係しているでしょう。