【セルフ型ネットリサーチ(DIYリサーチ)まとめ】メリット・デメリット、主なサービス一覧などをご紹介

ネットリサーチ最大手のマクロミルから「questant(クエスタント)」がリリースされるなど、徐々に存在感が大きくなってきているセルフ型ネットリサーチ(DIYリサーチ)

そんなセルフ型ネットリサーチについて、通常のインターネットリサーチと比較したときのメリット・デメリット、および主要なサービス一覧をまとめてみました。

セルフ型ネットリサーチとは

セルフ型ネットリサーチ(DIYリサーチ)は、アンケート画面の作成やデータ回収を自分で操作するタイプのインターネット調査です。海外ではDo-it-yourself survey、DIY Online Survey などとも呼ばれ、アンケート調査ツールのひとつとして使われています。

 

セルフ型ネットリサーチの種類

大きく分けて、以下2種類のタイプがあります。

  1. アンケート画面の作成ができるタイプ(アンケートの回答者は自身で用意する)
  2. 1に加え、リサーチ会社が保有するアンケートモニターへの回答依頼もできるタイプ

前者はアンケートを作る”ツール”、後者はモニターへの配信までできる”サービス”というイメージです。

 

従来のインターネットリサーチとの違い

標準的なインターネット調査と比べて何が違うのか、その長所・短所および注意点をまとめてみました。

 

メリット

安い

まず単純に調査費用を抑えることができます。

アンケート調査の内容次第ではありますが、通常のインターネットリサーチに比べて料金が1/3以下になるケースもあります。インターネット調査の登場によってそれまでよりもずっと低コストで市場調査ができるようになりましたが、それでもまだ規模の小さな事業者の方が気軽に利用できる価格ではありませんでした。セルフ型ネットリサーチでは1万円からアンケート調査が実施できるなど、これまで市場調査に縁がなかったような事業者の方でも手が届くような価格になっています。

【例】10問×100サンプル回収のアンケート

 

早い

アンケート調査の実施を決めてから実際にデータを回収するまで、よりスピーディーに進めることができます。

従来のインターネットリサーチではリサーチ会社のスタッフにあれこれ指示・相談しながらアンケートを実施をしていました。一方セルフ型ネットリサーチでは自分で決めて自分で作業を進めます。よってリサーチ会社のスタッフとのコミュニケーションに要する時間が短縮される分、迅速にアンケート調査を進めることができます。

 

柔軟

アンケート設問の文言を少しだけ変更したいといった場合にも、セルフ型ネットリサーチなら気軽に修正することができます。

標準的なインターネット調査では「○○を××にしてほしい」とリサーチ会社スタッフに指示→修正後に確認、という流れでしたが、セルフ型ネットリサーチでは自分の手で好きなように修正してしまえば終わりです。よって調査票(アンケート設問)に細かな修正が頻繁に入るような場合は、セルフ型ネットリサーチの方が柔軟に対応できるでしょう。

 

デメリット

システムの操作を覚える必要がある

アンケート設問を作成したり回答データを集めたりといった作業をするために、そのシステムの操作方法を覚えなければなりません。最初の1回目で慣れれば2回目以降はスムーズに作業できると思いますが、特に初回はどうしても操作習得の分だけ時間が必要になります。

 

作業時間が必要

アンケート設問の作成など、当然ですが”作業にかかる時間”が必要になります。

 

操作誤りのリスク

誤って選択肢をひとつ消してしまった状態でアンケートを実施してしまうなど、アンケート画面作成を自身で行うが故の”操作ミスリスク”もあります。

 

注意点

また、いくつか注意点もあります。

標準的なインターネット調査メニューとは異なる制約がかかっていることもある

通常のインターネット調査でできることが、セルフ型ネットリサーチではできないようなサービス仕様になっていることがあります。

【例】特定の市区町村だけに限定してアンケートを実施したい
→A社のセルフ型ネットリサーチは不可(同社の通常のインターネットリサーチサービスでは可)

「セルフ型ネットリサーチ」=「通常のインターネットリサーチサービスから”アンケート画面作成”と”データ回収”を抜いたサービス」とは限らない点にご注意ください。

 

アンケート画面はノーチェックなわけではない

リサーチ会社のモニターにアンケートの回答をしてもらう場合、調査票(アンケート画面)の内容が適切かどうかリサーチ会社側のチェックが入るケースが多いと思います。

よってスケジュールを考える際には、リサーチ会社側のチェックにかかる時間、および何かしらの指摘が入ればそれについての修正作業を行う時間が発生する点も考えておく必要があります。

最初から最後まで自己完結で作業を進める前提で計画を立ててしまうと、このチェック工程によってスケジュールが狂ってしまう可能性がありますのでご注意ください。

 

作業先行で進めないこと

簡単にアンケート作成に着手することができるため「まずアンケート画面を作ってみよう」と考えるかもしれません。

しかし調査目的が曖昧なままアンケートを実施しても、その後のアクションにつながらない”単なるデータ集め”に終わってしまいます。

せっかく時間をかけてアンケートを行うのであれば、調査の目的を明確にしてから作業を行うようにすることをおすすめします。

 

 

主なセルフ型ネットリサーチ一覧

主なセルフ型ネットリサーチ(DIYリサーチ)サービスをご紹介します。

 

1. アンケート作成ができる”ツール”タイプ

マクロミル「Questant(クエスタント)」

questant(クエスタント)は、ネットリサーチ最大手のマクロミルが提供するDIYリサーチ(セルフ型ネットリサーチ)です。

はじめから各種設問テンプレートが用意されているなど、調査票作成に不慣れな方もスムーズにアンケート画面を作れるような仕組みになっています。

【2014.8.28追記】

 QuestantからJapan Cloud Panelへアンケート配信ができるようになったようです。

300万人のパネルに対してアンケートが可能に!
セルフアンケートASP 「Questant」が、Japan Cloud Panelと連携スタート

これでQuestantも下記”サービス”タイプと同様の機能を持つようになりました。

 

2. リサーチ会社のアンケートモニターへの配信もできる”サービス”タイプ

ミクシィ・リサーチ「mixi survey(ミクシィ・サーベイ)」(旧「Ciao(チャオ)」)

mixi survey(ミクシィ・サーベイ)(旧「Ciao(チャオ)」)は、旧ネットマイル・現ミクシィ・リサーチのセルフ型ネットリサーチサービスです。

100サンプル3問のアンケートを無料で実施できるフリー・プランもありますので、試しに使ってみてはいかがでしょうか?

 

ジャストシステム「Fastask(ファストアスク)」

Fastask(ファストアスク)は、”一太郎”で有名なジャストシステムが運営するセルフ型ネットリサーチサービスのです。

実際に見ていただくとわかりますが、直感的に操作できるインターフェースで簡単にアンケート画面の作成ができます。

 

ボーダーズ「アンとケイト」

アンとケイトは、株式会社ボーダーズのセルフ型ネットリサーチです。

1問×1人×10円とわかりやすい料金体系で、「1万円で1,000人分の意見を聞くことができる」という通常のインターネット調査に比べて格安な価格設定になっています。

 

アイブリッジ「簡単アンケート」

簡単アンケートは、フルーツメール会員へのアンケートができる”リサーチプラス”を運営するアイブリッジ社のセルフ型ネットリサーチです。

「5問100回答までなら1万円という低価格」「最短1~2時間でのサンプル回収も可能」と、低コストかつスピーディーなサービスです。

 

Survey Monkey(サーベイ・モンキー)

Survey Monkey(サーベイ・モンキー)は、アメリカ生まれの世界中で使われているアンケート作成ツールです。

GMOリサーチのCloud Panelへアンケート配信ができますので、自社会員以外へのアンケート調査も実施することができます。

 

まとめ

コストメリットを活かした使い方を

セルフ型ネットリサーチにはスピードや柔軟性といったメリットもありますが、やはり一番の魅力は料金の安さに尽きるのではないでしょうか。これまで予算的に市場調査には手が出なかった方が現実的に使えるリサーチサービスだと思います。また、元々インターネット調査を利用していた方にとっても新たな場面で使えるサービスになるかもしれません。例えば適切な二次データが見つからず、かといって通常のインターネットリサーチをする費用はかけられない、そんなもどかしい状況を解決してくれる可能性のあるサービスです。

セルフ型ネットリサーチは従来のインターネットリサーチの代替品というよりは、その費用の低さを活かして“通常のインターネット調査と組み合わせて併用/補完するもの”として捉えておくと、うまく活用できるのではないかと思います。

 

アンケート調査であることに変わり無し

目的が「生活者の声を聞くこと」なのであれば、セルフ型ネットリサーチも通常のマーケティング調査も本質は同じです。単にアンケート画面の作成やデータ回収などリサーチ会社側の作業が減る分価格が安くなるという、サービス内容の違いでしかありません。したがって、まずアンケート調査の仕様を決める、それに合ったリサーチ会社(リサーチサービス)を選んで実施する、という基本的な考え方は従来のネットリサーチと同じです。

最初からセルフ型ネットリサーチの利用ありきで考えて、後から「普通のインターネットリサーチの方が良かった」とならないように気を付けましょう。

 

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