ネットリサーチを利用したことが無い・アンケート調査にも詳しくない方のために、
『ネットリサーチ(アンケート調査)を実施するときに気を付けるべきこと』をまとめました。
以下に挙げる7点を事前に押さえておくと、よりスムーズに、そしてより効果的にアンケート調査を実施することができるはずです。
最初は大変ですが一度覚えれば普遍的に使える基礎知識ですので、是非アンケート調査の実施前に参考にしてみてください。
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【1】調査目的 – 誰のため?何のため?
アンケート調査の目的を明確にする
アンケート調査で得たデータをビジネス上の打ち手につなげるためには、
誰のため/何のための調査なのかを明確にしておく必要があります。
ここが明確になっていないと、せっかくコストをかけてアンケート調査を行っても
そのデータを活かすことができません。
また、限られた予算と時間の中でアンケート調査を行う以上、何もかも完璧にできるとは限りません。
調査目的がはっきりしていれば何を取って何を捨てるべきなのかが判断しやすくなりますし、
ネットリサーチ会社側からも具体的な提案・助言をもらいやすくなります。
ビジネスに使える実践的なアンケート調査にするために、必ず調査目的を明確にしましょう。
どのような人に回答してもらうのかを定義する
調査の目的から考えて、アンケートで意見を聞くべき対象者の条件を定義します。
ポイントは、より具体的な条件にすることです。
例えば「若者に意見を聞くアンケート」なら「若者」の定義を「19-24歳」のように決めます。
アンケート回答者の条件は非常に重要な部分で、ここでの失敗を後から取り返すことはできません。
ネットリサーチ会社の担当者とやりとりするときにもお互い認識が合っているかを念入りに確認してください。
アンケート終了後に誤りに気付いても後の祭りですので、調査対象者の条件には特に注意しましょう。
【2】料金(アンケート調査費用) – 限られた予算を有効に使う
料金と設問数・サンプル数のバランスをとる
費用対効果を考えるなら、当然費用は安く抑えたいところだと思います。
ではアンケート調査費用はどのように決まるのでしょうか?
インターネットリサーチ(アンケート調査)において、料金を決める主な要素は設問数とサンプル数です。
多くのネットリサーチ会社では、「○問・○件のサンプル回収で○○円」というように
設問数とサンプル数および料金が一覧になった”料金表”が公開されていますので、
それを参考にしながら予算内に収まるよう設問数・サンプル数を調整します。
[メモ] 設問数・サンプル数とも"5問毎"や"100サンプル毎"のように、キリの良いところを境にして料金が上がり・下がりするケースが多いと思います。 例えば設問数で言えば「15問までは○○円・20問までは○○円」といった形です。 では17問だったらどうなるのか?通常は20問の料金として扱われることが多いでしょう。 ということは、どうせなら設問数を20問にした方が3問分お得ということになります。 ネットリサーチ会社の価格を比較するときには、そのような点も踏まえて検討してみてください。
手間とリスクも含めてコストを考える
いくらアンケート調査にかかるコストを抑えたいと言っても、
それ以上に自分の仕事が増えていたらトータルで損になる可能性もあります。
例えば「アンケートweb画面の作成」について考えてみましょう。
ネットリサーチ会社によっては、アンケートweb画面の作成が別料金になっています。
アンケートweb画面を自分で作成すればその分費用を抑えることはできますが、
そうするとアンケートweb画面を作る(ネットリサーチ会社のシステムに入力する)時間と、
そのアンケートweb画面に間違いが無いかチェックする時間、および間違いを見つけたときの修正にかかる時間も必要になります。
本来の自身の業務に加えて、このような作業に時間を取られるのは中々厳しいのではないでしょうか。
また、アンケートweb画面作成作業をする際に操作ミスをするリスクもあります。
設問数が少なければ自分でアンケートweb画面を作成してもさほど問題は無いかと思いますが、
ある程度設問数があり、かつweb画面作成料金がそれほど高くない場合には
ネットリサーチ会社の人に任せてしまった方が合理的です。
アンケートの実施にどこまで手間をかけられるのか?自分でやるリスクは許容するのか?
費用を考える際にはそのような点も含めトータルで考えるべきです。
【3】スケジュール – データ納品のタイミングは問題無いか
時間のかかるポイントを押さえてスケジュール遅れを防ぐ
ネットリサーチ会社に申し込みをしてからアンケート調査結果のデータが手元に納品されるまでの間で、時間のかかるポイントは大きく以下3つです。
- アンケート回答者の条件・設問数・サンプル数などの仕様決めにかかる時間
- アンケート設問一式(調査票)をwebアンケート画面化するのにかかる時間
- アンケートに答えてもらい、必要な数のサンプルが集まるまでにかかる時間
これら1~3をどれだけスムーズに進められるかで、スケジュールどおりアンケート調査を完了できるかどうかが決まります。
1. アンケート回答者の条件・設問数・サンプル数などの仕様決めにかかる時間
アンケート調査の申し込み時点できちんと仕様が決まっていなかったり、
都度複数の関係者間で擦り合わせが必要だったりすると、
ネットリサーチ会社側から質問/確認がある度に相応の時間がかかります。
特にスケジュールが厳しい場合には、
- アンケート調査の仕様は事前に確定させておく
- 関係者が複数いる場合には仕様調整の時間をスケジュールに組み入れておく
といった手を打っておくと良いでしょう。
2. アンケート設問一式(調査票)をwebアンケート画面化するのにかかる時間
アンケート設問数やweb画面化後の修正有無などによって大きく変わります。
ネットリサーチ会社によって違いはありますが、数時間で何とかなるというものではなく
1営業日~数日はかかると考えておいた方が無難です。
3. アンケートに答えてもらい、必要な数のサンプルが集まるまでにかかる時間
回収するサンプルの数や、アンケート調査の対象となる人の多さによって変わります。
ただし早くても24時間はかかると考えておいた方が安全です。
[メモ] ありがちな失敗例として、サンプル回収の完了日=納品日と思っていたが実際には違ったというパターンがあります。 回答を集めた後にネットリサーチ会社側でデータ加工作業が必要な場合などにこのようなことが起こります。 スケジュールに余裕が無い場合などは特に、最終的にデータが納品されるのはいつなのかを確認しておきましょう。
【4】モニター – アンケートに答える人を考える
モニター数と実際のサンプル回収数の関係を理解する
「モニター数○○万人!」とモニター数(アンケート回答会員の数)の多さを目にすると、サンプル数の確保も安心と感じるかもしれません。
しかしモニター数が多いからといって必ずしも自身のアンケート調査で必要な数のサンプルを確保できるとは限りません。
サンプルが確保できるかどうかは、回答率(返信率)とアンケートの回答者条件にあてはまる人の割合を加味して考える必要があります。
まず回答率について。
インターネットリサーチは、ネットリサーチ会社がモニターに対してメール等でアンケート回答の依頼を出し、
それを受けてモニターが回答するという仕組みです。
このとき100人にメールを出して100人とも回答するということはまずありません。
仮に100人中30人が回答するなら30/100で回答率30%ということになります。
次にアンケートの回答者条件にあてはまる人の割合について。
例えば”札幌市にお住まいの方100名分のサンプル”を集めるアンケート調査を実施するとします。
このとき、モニター数○○万人のうち札幌市在住者は200人だとします。
回答率が30%だとすれば確保できる見込みのサンプル数は 200人 × 30% = 60人 までということになり、
必要な数のサンプル(100サンプル)は集められないということになります。
トラブルを未然に防ぐため、”モニター数と実際に集めることのできるサンプル数の関係”を理解しておきましょう。
[メモ] この例のように回答対象となる人が特定の条件に限定されている場合には、 ネットリサーチ会社にサンプル回収シミュレーションを出してもらうと、事前に回収可能なサンプル数のアタリをつけることができます。
モニターがどのような人なのかに注意する
どのような人がアンケートに回答するのかにも注意が必要です。
例えばスマートフォンユーザーのみで構成されているモニターに対して
「あなたはスマートフォンを使っていますか?」と質問しても意味がありません。
アンケート調査の目的とモニターの特性に問題が無いのかも考えましょう。
サンプル数が不足したらどうするかを考える
必要な数のサンプルが集まるか不安があるときには、もし期間内に十分なサンプルを回収できなかった場合はどうするのかを決めておくと、いざそのときになってから焦らなくて済みます。
対処法はケースバイケースなので都度ネットリサーチ会社の担当者と相談して方針を決めていくことになると思いますが、「アンケート回収期間を延長して少しでも多くのサンプルを集める(スケジュールよりサンプル数を優先)」のように何を優先するのかを予め決めておくと判断がしやすくなります。
必要な数のサンプルが集まらないリスクがあるときには、不足した場合はどうするのかという点についても検討しておくと良いでしょう。
【5】調査票(アンケート設問一式) – 設問設計の注意点
調査票は内容が確定した状態で入稿する
アンケート調査票は、原則として設問や選択肢などの内容が確定したものをネットリサーチ会社へ入稿した方が好ましいです。
一般的にweb画面を作成してから修正をかけると、テキストファイルやExcelファイル上での修正よりはるかに時間がかかります。
これはスケジュール遅れにつながりかねませんので、なるべく設問や選択肢の内容が確定している状態で入稿しましょう。
思い込みや”答えありき”に気を付ける
アンケートの設問(質問文/選択肢)を作る際には、回答者の目線で見ることが大事です。
例えばある自社サービスについての意見を知りたいとき「○○(サービス名)の好きなところを3つ教えてください。[必須回答]」という聞き方をしたとします。
このとき回答者が「好きなところはひとつもない」という意見だと、正しく回答することができません。
思い込みを排除するというのは意外に難しいものですが、少なくとも自分が思い込みで設問を作っている可能性があると認識しておくだけでも大分違います。
アンケート設問を作る際にはそのような観点も持つようにしましょう。
[メモ] ネットリサーチ会社にアンケート調査を依頼するメリットとして、自分が作った設問に対して第三者目線でのチェックをしてくれるという点があります。 ネットリサーチ会社を比較・検討する際には、価格の安さばかりではなくこのような点についても配慮してくれるかどうかで選んだ方が結局は良い結果になるでしょう。
プロの手を借りるという手段もある
上記のような設問設計上の注意点は他にも多々あり、アンケート調査に慣れていないと中々気付けないものです。
もし予算に余裕あるのであれば、追加料金を払ってアンケート設問の作成(調査票設計)をリサーチ会社に依頼するという方法もあります。
【6】エディティング(データクリーニング) – 不良回答の扱い
矛盾した回答の扱いを決める
アンケートの回答内容に矛盾があった場合にどうするかを考えます。
例えば「商品Aを知っているか?」という設問で”知らない”と答えた回答者が、
別の設問で「商品Aを持っている」と答えているような場合、これは矛盾した回答です。
そのような矛盾回答に対して、回答データを修正する・サンプル自体を削除するというように
そのデータの扱いを決めます。
(ネットリサーチ会社によって、またはデータクリーニング方法によっては有料での対応になります)
ただしこのような回答データの編集をやり過ぎると、
アンケート調査結果を恣意的に曲げてしまう恐れもあります。
明らかに不誠実な回答をしている場合を除き”回答したまま”の状態にしておくという方法もありますので、
調査の目的を考えながら矛盾回答の扱いを決めましょう。
【7】納品データ – アンケート調査結果データの形式
納品データの形式を確認する
どのようなファイルが納品されるのかは、アンケート調査実施前に確認しておいた方が良いです。
最初に確認しておけば、アンケート調査結果のデータが納品された後に
「納品されると思っていた集計ファイルが納品物の中に含まれておらず、予定していた資料が作れなくなった」
「納品データの形式が想像していたものと違っていて、集計ソフトに読み込ませることができなかった」
といった事態に陥ることを未然に防ぐことができます。
納品後すぐにデータを使う必要がある場合などは特に、ネットリサーチ会社にデモ用の納品データを見せてもらうなどしてデータの形式を確認しておきましょう。
◎まとめ
他にも注意すべきことはありますが、少なくともこれら7つの観点を持っていれば
大きな失敗の無いアンケート調査ができるはずです。
最後にまとめとして、これら気を付けるべき7点をチェックリスト化しておきます。
(以下をクリックするとPDFファイルをダウンロードできます)
◎【保存版】ネットリサーチ(アンケート調査)の基本7点チェックリスト.pdf(91KB)
以上です。
せっかくコストをかけてネットリサーチ(アンケート調査)をするのであれば、
最大限効果を引き出せるよう、こうした基本的な部分から押さえていきましょう。